- 訳 キース・デブリン
- 著
- 販売元/出版社 ダイヤモンド社
- 発売日 2008-04-11
この本は『NUMB3RS:天才数学者の事件ファイル』というTVドラマで使われた数学に関しての解説本なのだが、『NUMB3RS』の第一話では「地理的プロファイリング」が使われたらしい。ということでドラマの方は未見のくせに読んでみることにした。
「地理的プロファイリング」といえばマイケル・スレイドの『メフィストの牢獄』が記憶に新しい。
マイケル・スレイドは読者を驚かせるためならば夢オチでさえ平気で何度も使ううえに、洋式便器に強力吸引機を取り付けてうっかり座ってしまった人間のけつの穴から内蔵を引っ張り出して殺してしまうという、えげつない殺人方法を考案したり、しかも今現在は親娘でそんな話を書いているというとんでもない作家なのだが、事件の捜査という方面に目を向けると、ジェフリー・ディーヴァーよりも早く「ロカールの交換法則」を作品に取り入れたり、キム・ロスモを登場させて「地理的プロファイリング」を使ったりと意外と堅実というかしっかりとした一面があったりする。
しかも、ヴァル・マクダーミドの『シャドウ・キラー』でも「地理的プロファイリング」が使われているのだが、発表年でいえばスレイドの『メフィストの牢獄』のほうが早い。
しかし、この「地理的プロファイリング」というのは犯人の居場所を特定するための手段なので、小説の中で使うには少々扱いつらいものがある。「地理的プロファイリング」に花をもたせてしまえば、犯人捜査することなくそこで犯人の居場所が判明することになり事件は解決してしまうからだ。
で、『NUMB3RS』ではどうしていたかというと、これがなかなかうまい使い方をしていたのである。
その他にも様々な数学が犯罪捜査に応用されているので、ドラマの方が未見でも楽しめるのだがやはり、ドラマの方も見たくなってくるのが困ったところだ。
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