- 著 篠田 節子
- 販売元/出版社 講談社
- 発売日 2008-07-15
ジェフ・ライマンの『エア』が村おこしSFだとしたら、『ロズウェルなんか知らない』は篠田節子版『エア』だ。
と言ってしまうのはちょっと言い過ぎかもしれないが、『エア』の半分はどうみても村おこしの話だろう。ということで、『エア』の主人公をおばさんから、元青年に変えて、そして『エア』にあった気持ち悪さというか居心地の悪さを綺麗さっぱり取り除いてついでにSFの部分も取り除いて、胃の中で胎児が成長して口から出産というのがマンデインSFだというのならば、取り除いたって構わないだろう、そしてその代わりにユーモアを追加したのが『ロズウェルなんか知らない』だ。
過疎化の進んだ観光地、このままだと2030年には人口がゼロとなってしまうという予測結果が出てしまう始末。そんな状況を打破するために立ち上がったのは地元の青年クラブなのだが、彼らだって青年といえるような年代では既になく、40に手の届く年代なのだ。
というわけで、『エア』の時もそうだったのだけれども、今回の話も悲しくなるほど主人公達の気持ちがよく判る話だった。
結局、何か解決したというわけでもないけれども、登場人物の何人かはそれなりに幸せになるし、なんとなくまあ先の見通しは明るいんじゃないのかな、ひょっとして、という程度のハッピーエンドであるところが泣かせるよなあ。
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