この世界の片隅に(中)

この世界の片隅に 中 (2) (アクションコミックス)

  •  こうの 史代
  • 販売元/出版社 双葉社
  • 発売日 2008-07-11

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まさか上下巻の二冊で終わるはずはないだろうと思っていたらやっぱり上中下の三冊のようで、中巻が出ました。
相変わらず飄々としたとぼけた可笑しさはあるものの、それ故にか時としてドキッとするような恐ろしさが存在する漫画だ。
日常のほのぼのとした風景ばかりではなく、そして戦時中であることの生活描写だけではなく、旦那の過去の思い人の存在や幼なじみとの再会と心の揺らぎ。今までの総決算とでもいわんばかりの詰め込みようでもある。
上巻の時もそうだったのだけれども、ホラー漫画でもないのにこれほど読むのが恐ろしい漫画も珍しい。もっとも恐ろしいと思っているのは自分だけかも知れないが、しかしだ、ここで描かれている小さな幸せはやがて出る下巻で壊されるのだ。
そして、少しずつだけれども敗戦の色濃くなりつつある時期へと来たせいもあって死の影が濃くなって来ているし、なによりも初めて死が描かれた。しかしその死が呉への空襲のシーンとくらべればあっけないほど簡単に、そして身近に描かれているのは多分計算した結果なのだろう。
ここでは昭和20年4月まで描かれた。さて残り最後の下巻では何処まで描かれるのだろうか、この世界の片隅の風景は。

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