- 著 大西科学
- 販売元/出版社 ソフトバンククリエイティブ
- 発売日 2008-07-15
<ジョン平とぼくと>シリーズでは「陽素」というものが存在する世界だったけれども、今回は「浮珠」というものが存在する世界でなおかつ時代は明治時代。
「陽素」ほど普遍的な存在ではないだけあって架空世界の構築度がちょっと弱めなのが残念なところで、「浮珠」が存在する世界で、いかに「浮珠」というものが使われているのかということ、且つ、その利点と欠点とをふまえて論理的且つニュートン力学に反しない範囲でひねくりまわしているけれども、物理法則に違反しないように考察すればするほど、ひずみが出てしまうのが気になって仕方がない。まあそんなこと気にしなければいいのだけれども、「浮珠」のある世界というのはちょっと無理がありすぎるんだよなあ。
まあそのあたりは続編以降、おいおい何とかなるだろうということを期待しつつ、物語の骨格を抜き出せば、敵国から一人の少女を空を飛び海を渡って自国まで脱出するという話であって、犬村小六の『とある飛空士への追憶』と同じなんだけれども、主眼を何処に置くかによってここまでがらりと雰囲気が変わってしまうのは面白いところだ。
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