- 著 打海 文三
- 販売元/出版社 角川グループパブリッシング
- 発売日 2008-06-25
- 著 打海 文三
- 販売元/出版社 角川グループパブリッシング
- 発売日 2008-06-25
読み終えて、鳥肌が立つような感覚におそわれたのは久しぶりだった。とにかく後から後からゾクゾクとしてくるのである。
打海文三はこの世界が抱えるありとあらゆる問題を、彼の恐るべき腕力と握力と筆力でもって圧縮し、そして描いたのだ。その圧縮率の高さは恐れ入るしかないのだが、無論、凝縮する過程でこぼれ落ちた物も多い。しかしこぼれ落ちたものはこぼれ落ちたものであって、彼の物語の中では必要のない物なのだ。
今回も多くの人が死ぬし、主要人物も死ぬ。しかし不思議なカラッとしたユーモアにあふれているせいか、じめじめとした展開にならないところが成長物語としてのすばらしさだろう。描かれている世界は悲惨以外の何物でもないのだが、主人公達の力強さがゾクゾクさせるのだ。
前作では裸だった、そして今作では愚かだった。だれが裸者でだれが愚者だったのか、ああ、そして誰が覇者になるのだろうか。内乱の終結へと向かった形で『愚者と愚者』は幕を閉じたのだが、その次の答えを持ったまま打海文三は逝ってしまった。
コメント
こんにちは。
「覇者と覇者」は5分の4まで書き上げられているというウワサですね。
未完でもよいから刊行してくれないものでしょうか。
木曽のあばら屋さん、こんにちは。
>「覇者と覇者」は5分の4まで書き上げられているというウワサですね。
そうなんですよね、一部では未完のままで出版されるという噂も飛び交っていたりするのですが、どうなるんでしょうか。
「覇者と覇者」発売日
角川書店のページにも書いてありましたが、発売日に若干のズレがあるみたいです。その