六とん 2

六とん2 (講談社文庫 そ 4-6)

  •  蘇部 健一
  • 販売元/出版社 講談社
  • 発売日 2008-08-12

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オチがイラストになっていたり、イクラの軍艦巻きのカラー写真があったりと無駄に凝った部分があって、まあイクラの軍艦巻きに関しては理由が判った瞬間、そのねじくれた力の入れ方に呆れかえるというか、それでこそ蘇部健一だと妙に感心してしまった。おそらく蘇部健一に期待するのは、まずいと知りつつもついつい買ってしまう駄菓子感覚なのだろう。
続編でありながら、シリーズキャラクターが中途半端にしか登場しないあたりも素敵なのだが、一番の期待は「叶わぬ想い」で『届かぬ想い』のリベンジだと言いつつも、ラストでそうきたか。この後味の悪さは、果汁100%のジュースだと思っていたら果汁0%でしかも人工甘味料だったといった趣だ。
「誓いのホームラン」もやはりその系統というべきか、後味の悪さは格別。
一方で、「きみがくれたメロディ」では、過去と未来を文通するという、よくある設定を使いながらも、どのように嫌悪感をもたらす結末へと結びつけるのかと思っていたら、素直に感動する話にしてしまったりしている。しかし、普通ならばこれで感動して喜ぶはずなのだが、こんなまともな話を書きやがってと怒りたくなるのが蘇部健一の本なのだ。
文庫版だけのボーナストラックもまた、変な話だった。

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