- 著 結城 昌治
- 販売元/出版社 東京創元社
- 発売日 2008-07
前作ではまがなりにも探偵が登場したのだけれども、今回は探偵は登場しない。前作のあの人物がシリーズ通しての探偵役なのだろうと思っていたので拍子抜けしてしまったのだが、逆にどの人物が探偵役になるのだろうかという興味が読んでいるうちに出てきた。
上半身はワイシャツにネクタイというきちんとした身なりでありながら、下半身はパンツだけという死体が発見される。一見すると都筑道夫の『退職刑事』の一編でもおかしくないような設定なのだけれども、そこはやはり結城昌治の物語である。
奇をてらったトリックなど無いので、下半身がパンツだけという謎はきわめてあたりまえな真相に落ち着くわけで、いやよくまあこんな真相で話を書いたものだと呆れかえるやら感心するやら、ある意味バカミスと呼んでも構わないような気もするのだが、しかし、これをバカミスと呼ぶのは間違いだろうなあ。
犯行動機に関してこそまともなのだけれども、それに至るきっかけの部分が馬鹿馬鹿しく、それ故に犯人と被害者が可哀想になってくるあたりがうまいところだ。
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