- 著 連城 三紀彦
- 販売元/出版社 光文社
- 発売日 2008-08-07
一人の少女が殺されて庭に埋められる。
犯人は誰かという話なのだが、これが実に嫌な展開をしまくる物語なのだ。
少女の母親、父親、祖父、伯母、伯父、従兄弟、母親の浮気相手と視点人物が交互に入れ替わり、入れ替わるごとに新たな事実がわかるという展開をしていくのだけれども、一通り事実が出終わったあたりから物語は歪みはじめるのである。まあ最初から歪んではいるのだけれども。
視点人物となった人間が次々と自分が犯人であると言い始めるのだ。そうなってくると読み手としてはその人物の言動を迂闊に信じてしまっていいのかという気にもなってくるので、そうなってくるともはや後の祭りでまんまと作者の術中にはまってしまう。
しかし、反吐が出そうな自供の数々を我慢しつつ読み進めていくのだが、そこは連城三紀彦、読み進めていってもなかなか真相にたどり着かせてくれない。
表向きは平和な家族だったけれども、実際は悪意やら、いや単なる悪意だけだったならばどれだけよかったかとさえ思ってしまうほどの様々な思惑が渦巻いているのだ。
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