- 著 プリーモ・レーヴィ
- 販売元/出版社 光文社
- 発売日 2008-09-09
イタリアにもこういう話を書く人がいたのだなあと、まってくもって世界は広いということを実感してしまった。
とりあえずいつもの癖で解説から読んでしまったのだけれども、この本ばかりは後で読むべきだったと後悔してしまった。要するに作者の経歴が書かれているからであるが、まあそんなものなど知らずに楽しむのがこの本の場合は一番よいのだろうと思う。
冒頭の「ビテュニアの検閲制度」からしてなんとも人を食ったような話で、検閲しなければいけない事柄が増えた結果、更正ミス等の手違いによって逮捕や処刑される人が多くなり、また検閲する側もその作業の負荷に耐えることが出来なくなる。それを唾棄するために様々な手段が試みられるのだけれども、最終的にとある動物を使うのが一番いいことが判明される。さてその動物とは、ということなのだけれども、これがなかなかにやりとさせられる動物なのである。
そんな風にほぼ前編に渡って、特殊な状況下においての論理的な展開がなされ、何処か懐かしい感じのするSF短編であり、まあちょっとこれが古典なのかと思わないでもないのだけれども、こういう作家をとり上げてくれるというのはいいよねえ。
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