暗夜

暗夜/戦争の悲しみ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 全24巻(第1集)) (世界文学全集 1-6)

  •  残雪
  • 販売元/出版社 河出書房新社
  • 発売日 2008-08-09

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残雪の短編目当てに『暗夜』の方だけをとりあえず読んだ。
なんという変な話なのだろう、これは。変で、そして恐ろしいのだ。
そこで何が起こっているのかは説明されるのだが、何故なのかは説明されない。一切合切が不条理で、不安になってくる。そして恐ろしいことにどの話もそうなのだ。
霧の中を歩いているように、直前の、目の前にあるものははっきりと見えるのだけれども、少し離れた場所にあるものは何も見えない。何かあるというだけしか感じることが出来ない。その感じの部分がとてつもなく恐ろしいのだ。
といってもホラーのような怖さではない。キングの「霧」のようにその向こうに何か得体の知れないとてつもなく恐ろしい物が待ち受けているというような怖さでもない。
おそらくは自分自身の弱さに直面させられているから怖いと感じるのかも知れない。
しかし、徹底的にここまで堅牢にそして不可解に不条理のまま物語を語り尽くす、いや物語など語っていないのかも知れないのだれども、こんな凄い話を書く人がいるなんて、世界はあまりにも広すぎるとあらためて実感した。

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