ラス・マンチャス通信

ラス・マンチャス通信 (角川文庫 ひ 19-1)

  •  平山 瑞穂
  • 販売元/出版社 角川グループパブリッシング
  • 発売日 2008-08-25

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文庫化された順番が順番だったので『忘れないと誓ったぼくがいた』の方を先の読んだのだけれども、『忘れないと誓ったぼくがいた』とはうって変わって異様で全然さわやかでも泣ける話でもなかった。
まあそのあたりはあらかじめ知っていたので、びっくりすることはなかったけれども、『ラス・マンチャス通信』でどす黒い何かを出し切ってしまったので『忘れないと誓ったぼくがいた』はあんな話になってしまったのだろうかと勘ぐりたくなった。
『ラス・マンチャス通信』はまあ、最初っから飛ばしまくっているのである。
冒頭から登場する「アレ」が何なのかというのは第一章のタイトルから想像がつくわけだけれども、だからといってこの世界が自分のいる現実と同じ世界の話というわけではなく、陸魚などという得体の知れないものは登場するし微妙に食い違っている世界なのだ。
その食い違いぶりというか、説明される部分と、まったく説明されない部分と、中途半端に説明される部分とのバランスといい、もどかしさといい、そのあたりがツボにはまる。
ラストの展開に関しては、ミステリ系のとある作品を似ていて、こちらの初読時のインパクトが大きすぎたので、これはこれで嫌な展開だったのだけれども、それほど衝撃的でもなかったのがちょっと残念。

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