- 著 アーサー・ポージス
- 販売元/出版社 論創社
- 発売日 2008-09
いや、実にあやうかった。
アーサー・ポージスがどんな作家だったのかすっかり忘れていたので、昔のミステリ作家だと思いこんで、ならば特に読む必要もないなあとそのまま見過ごすところだった。
まあそれも無理もないといえば無理もないのだが、「一ドル九十八セント」のアーサー・ポージスだったことをすっかり忘れてしまっていたのは我ながらちょっと情けない気もする。
残念ながら「一ドル九十八セント」はこの本には収録されていないうえに「一ドル九十八セント」並みの話があるかといえば、ミステリとパズラー系の話を集めたものなので、無いのだが、それでもまあそこそこいいレベルの話だった。
というのは結局のところ、お話としてはあまり面白くないのである。
とくに後半のパズラー編となると、トリックそのものは凄いのだけれども、そこに至るまでの部分があっさりしすぎで、もう少しうまく書けばもっとよくなるのにと思う話ばかり。もっともこれは短編という枚数上の制約もあったのかも知れないけれども、非常にもったいないのだ。
そんなわけでパズラー編は物足りなかったのだけれども、トリック至上主義的な話ではなく叙情的な要素が入った作品は充分に満足で、前半のミステリ編はよかった。SF編が出るといいのになあ。
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