大宇宙の少年

大宇宙の少年 (創元SF文庫 ハ 1-7)

  •  ロバート A・ハインライン
  • 販売元/出版社 東京創元社
  • 発売日 2008-09

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ルナ・ゲートの彼方』に引き続いて『大宇宙の少年』も読んだ。
ああ、やっぱりこの本でも僕の信頼するハインラインの思考は存在する。
ようするに、「無料の昼食は無い」なのである。
結果的にそれが軍国主義へと向かう物語となる場合もあるのだが、ハインラインの根底は権利と義務、ギブアンドテイクの世界なのだ。
何かを得ようとするのであれば、それは無料であるとは考えず、対価を支払わなければならない。
そして、いつだってハインラインは「子供を知識に導くことはできるが、考えさせることはできない」と、自分で物を考えるということの大切さと難しさを語っている。
というわけで、この本でも主人公の父親がその思想を体現している。
月旅行へと行きたい主人公に、「いいよ」の一言で済ませてしまうのである。しかし、どうやって行けばいいのかという部分に関してはなにもしてくれない。要するに自分で考えろというわけだ。
まあスパルタ教育というばそうかも知れないが、しかしまったく無関心というわけでもなく、要所要所で助言をするし手伝いもする。
そうして主人公は石鹸会社の月旅行キャンペーンに応募するのだが、残念なことにハズれ、びっくり賞として中古の宇宙服を貰う。
そして、めげない主人公はその宇宙服を修理しちゃんと稼働する状態までもっていく。でここまでが文庫にして60ページ程のところ。そしてその先が本題の部分なのだが、ハインラインらしさが満ちあふれ本当に面白くて部分はここまでの部分なのである。はっきりいってここまでで充分に堪能させてくれる。
そういうわけで残り350ページ近くの部分はハインラインの、主人公へに対するご褒美の物語なのだ。

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