東京夢幻図絵

東京夢幻図絵―昭和ミステリ秘宝 (扶桑社文庫)

  •  都筑 道夫
  • 販売元/出版社 扶桑社
  • 発売日 2008-10

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大道芸を見かけるたびに、砂絵描きを行っている人がいないかと探してしまうのは都筑道夫のせいだ。
一度でいいから大道芸として砂絵を描いている人を見てみたいものだと思っているのだが、都筑道夫という人はこういう気持ちにさせるのがうまい人だ。
で、この本でもさまざまな香具師が登場する。小学生の頃、学校の前で手品の種を売っていた香具師がいた。しかし都筑道夫が描く香具師ほど魅力的ではなかった記憶がある。その証拠に手品の種など買わなかったからだ。
都筑道夫の描写を読むと、品物そのものはたいしたものではなくっても、そう、買ってしまったあとでがっかりしても良いから騙されてみたいと思うような香具師ばかりなのだ。
謎解き要素のある話も多いのだがミステリ一辺倒の短編集ではなく、都筑道夫の他の作品と比べると地味な作品集なのだけれども、年を取ってくるとこういういぶし銀のような作品が面白く感じられる。
ああ、この何ともいえない昭和の薫りが実に懐かしく感じられるのだ。
何よりも、元本の表紙絵が収録されているし、おまけもある。さすがは日下三蔵氏が関わった本だけあって至れり尽くせり、これ以上この上もない本に仕上がっている。

コメント

  1. QUMAY より:

     お久しぶりです(^^)。
     私も日下三蔵さんの携わった本が好きです。
     特に都筑さんのシリーズはどれも、買って損はない、とうなってしまいます。
     最近、創元から出た野田昌宏さんの『レモン月夜の宇宙船』もまたしかり、でした。

  2. Takeman より:

    QUMAYさん、お久しぶりです。
    この本はちょうど未読の本だったのでうれしかったですね。
    こんな調子で復刊が続いてくれるとうれしいのですが、未読の本もだんだんと減ってきているのでそれを考えるとちょっと寂しいです。

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