- 著 五十嵐 貴久
- 販売元/出版社 双葉社
- 発売日 2008-11-13
先月は予定外に本を購入してしまったので、後回しにしようかと思ったのだが、それでも文庫化されたら読むと公言してしまっている以上は、後回しにしておくといつ読むことが出来るか知れたものではないので読むことにした。
若干、想定していたよりもページ数が多いことも読むのに躊躇していた理由の一つなんだけれども、しかし、読み始めたら、そんな不安や懸念といったマイナス事項は吹き飛んでしまった。
いや、もう、五十嵐貴久という作家を侮っていたよ。それなりに面白い小説を書く人だと思いこんでいたのだけれども、それなりどころがむちゃくちゃ面白い。もっともここでいう面白いは笑えるという意味の方なんだけれども、ここまで面白かったらエンターテインメントとしては充分じゃないかと思うくらいの面白さだ。
「ロケットボーイズ」といいながら作るのはロケットではなくキューブサットという四角い人工衛星。しかも打ち上げるのではなく、気球で上空まで行ってそこから落とすのだ。
看板に偽りありまくりなんだけれども、まあそこまでが話の半分。残りの半分でとりあえず人工衛星を打ち上げるのだからまあいいじゃないかという気にもなるくらい面白い。
要するに「ロケット」はロマンの比喩であって、そう、この物語にもロマンが満ちている。
惜しむらくはエピローグで主人公とその家族のその後しか描かれていないことだ。青春物語だったならば登場人物全員のその後が描かれてしかるべきだった。
うーん、そこがちょっとだけ残念。
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