- 著 一柳 凪
- 販売元/出版社 小学館
- 発売日 2008-12-19
前巻は夏のバカンス編といった感じで番外編もしくは幕間的な話だったのだが、今回は前回遊んでしまった分を一気に取り返すかのような急展開な話だった。
そもそも、最初は学園異能バトル系の話かと思っていたのだが、学園が舞台となったのは一巻だけで、二巻では怪しげな館、三巻はバカンスで、今回は学校で連続殺人事件が起こるけれども、主人公達の学校ではなく別の中学校だ。
六年前に起きた主人公の両親殺害を含む四件の童話見立ての連続殺人事件。そして六年後に、残りの見立て殺人事件が起こる。
探偵が登場し推理が行われるのだが、ひたすら「後期クイーン問題」に終始し続けているかのようなひねった推理ばかりで冷静に見ればこの展開は異常だ。
見立てとなった物語が作中作として挿入されるなど凝った作りになっているのだが、この作中作はおまけに過ぎないところが残念なところなんだけれども、ここまで過剰なミステリ仕立てをされていれば文句は言えまい。
しかし、事件の真相が納得できるかといえば微妙なところなんだけれども、この物語の世界の住人であればそんなことをしでかしても不思議ではあるまいと思わせられてしまうという点では雰囲気作りはうまいよなあ。
そしてミステリとしての部分もそうだけれども、ここに来て事件の黒幕の目的が判明し、そしてSFネタとしても大ネタが投入されるのには驚いた。
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