第九の日

第九の日 (光文社文庫)

  •  瀬名 秀明
  • 販売元/出版社 光文社
  • 発売日 2008-12-09

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論文を読んでいるかのような錯覚にも陥った『デカルトの密室』と比べると、短編だというせいもあって読みやすい。
しかし、短編とはいえどもそこに投入されたテーマは過剰で、気楽に読むことができるかというとそうでもない。
相変わらず、物語の力というものを語っているけれども、やっぱり論文臭いところが難点だよなあ。金城一紀のように実例でもって物語の力というものを見せつけてくれれば文句も何もでないのだけれども、分析に終始されてしまっていると、そんなことはどうでも良いから実例を見せてくれと言いたくもなる。
もっともそのあたりの結論というか答えが最終話の「決闘」となるのだろうけれども、しかし、その前の三作の方が、物語としては面白くないけれども、そこに提起された問題意識の部分が面白すぎるのだ。
というわけで、どうもアンバランスな作りになっているのだけれども、グレッグ・イーガンがいなくっても日本には瀬名秀明がいるじゃないかって言えるほどになってほしいなあと実は思っているのだ。

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