- 著 ジャック・フィニイ
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 1967-11
長いこと積読だったジャック・フィニィの『クイーン・メリー号襲撃』をようやく読んだ。
第二次世界大戦中に沈んだU-ボートをサルベージしてクイーン・メリー号を襲撃し乗客から金品を奪って逃走するといういたってシンプルな物語だ。
U-ボートが沈んだ原因とかはご都合主義的な面も無きにしもあらずなんだけれども、成立させるための手続きがしっかりとしているためそれほど気にならないし、サルベージしてふたたび航行可能な状態までもっていく部分も、完全な状態まで修復するわけではなく、ぎりぎり航行可能なレベルにとどめているあたりはさすがジャック・フィニィといったところ。
しかし一番驚いたのは、U-ボートのサルベージの部分にかなりの紙面を費やしていて、肝心の襲撃は終盤にまでもちこされる点だ。
もっとも、魚雷完備の潜水艦があれば豪華客船の襲撃など不可能ではないわけで、話の焦点が潜水艦を修復する部分になるのは当たり前のことである。
で、ジャック・フィニィの他のミステリと同様、今回も襲撃は見事成功し、そして大金を手に入れるのだが、そこはやはりジャック・フィニィであって読後感はなんだか切ないのである。
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