- 訳 ジョン・W・キャンベル
- 著
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 1995-09
ジョン・キャンベル・ジュニアといえば編集者としての方が有名だろうけれども、しかし作家としてみた場合、『月は地獄だ』とか「影が行く」といった作品のことを考えると、やっぱり作家としても凄かったんだよなあと思う。
で、1995年にハヤカワSFシリーズのうち四冊が復刊したのだが、その四冊のうちの一つが『影が行く』なのである。
表題作は東京創元社のアンソロジーに収録されたのだけれども、他の作品、とくに「薄暮」や「夜」などはわりと有名なくせにアンソロジーには収録されてはいない。
というわけでもの凄く期待しながら読んでみたのだけれども、読んでみたらああなるほどと思ってしまった。
うーん、悪くはないんだけれども、今更読む必要もないかってことなのだ。
で、予想外に面白かったのが「盲目」。
亜原子力エネルギーの秘密を解き明かすために太陽の近くまでいって研究をし、その結果盲目となってしまった科学者の物語なのだが、ここでもキャンベルの、
「あり得ることにできなければ論理的にせよ。調査できなかったら外挿せよ」
という思考が炸裂し、皮肉な結末へと結びつくのだ。
うーん、やっぱりいいなあと思ったのだが、最後の「エイシアの物語」を読んだら、がっかりしてしまった。
まあ出来不出来はあるよなあ。
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