- 著 山田 正紀
- 販売元/出版社 朝日新聞出版
- 発売日 2009-03-06
私にとっての山田正紀ってのはエアポケットみたいなもので、存在も評判も知っているのに何故かほとんど手を出さないでいる作家だ。
『神狩り』とか『宝石泥棒』とかミステリ方面でみれば『人食いの時代』とか、まあ押さえておかなければいけないものは読んではいるけれども、だからといって重要作品を全て読んでいるわけでもない。
多分、話を畳まないタイプの作家だからかもしれない。そういう点では恩田陸と似ているわけだけれども、熱狂的になれないのである。
というわけで、このシリーズも評判こそは知っていたけれども、やはりタイトルの影響力というのも大きく、まあまたの機会でいいやと迂回してしまっていたわけだ。
だからといって今回、読んでみようという気になったのはタイトルが変わったというせいでもなく、なんとなく、今回を逃したら次はないだろうなあという予感がしたからだけだけれども、そんなことはどうでも良く、読み終えてその面白さに愕然とした。
こりゃ、確かに高い評価を受けただけのことはあるよなあ。文庫にして300ページほどの分量の中での終盤での二転三転する展開、今読むと多少は古びてしまってしまっている部分も無きにしもあらずだが、それはあくまで風俗描写の部分であって、それ以外は全然平気だ。
今回は迂回しようと思わなくって良かったよ。
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