- 著 フレドリック・ブラウン
- 販売元/出版社 福音館書店
- 発売日 2009-02
その昔、サンリオSF文庫から『フレドリック・ブラウン傑作集』が出た時、他の短編集で読むことが出来る話が多かったので買わなかったのだが、多かったというのが曲者で、全部では無かったのである。
しかし、とうの本人は『フレドリック・ブラウン傑作集』に収録された話は全て既読であると思いこんでいたのでそれはそれで幸せだったのだがその幸せな期間も、インターネットなるものが登場しフレドリック・ブラウンについて調べるまでの間だった。というわけで未読の短編があることを知ったとき、愕然としたのだけれどもだからといって、あの当時、未読の作品があることを知っていたとしても『フレドリック・ブラウン傑作集』を買っていたかどうかと言うとコストパフォーマンスからいって微妙なところでもある。
「アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク」Eine Klelne Nachtmusik に関していえば復刊した『幻想と怪奇3』で読むことができたわけだけれども、残るは三作品、「事件はなかった」It Don’t Happen「人形芝居」Puppet Show「和解」Reconciliationである。
で、そんな時、この本がでた。
「和解」Reconciliationが入っていないのが惜しいのだけれども、しかし、島田虎之助のイラストによるフレドリック・ブラウンというのはなかなかそそられるものがある。そして祖父江慎の気合いの入った装丁と、話ごとに違うフォント。
もっともこだわりまくったフォントは読みやすいかというと微妙なところで、特に外国人が作ったひらがなが使われた話などは、内容だけを単純に追いかけていくとすると読みにくいのだが、まあこれは、内容だけではなく、表紙やページの手触り、そしてフォントまでも一体として楽しむものなのだということであれば、文句のいいようもない。
問題はここまでくるとこの本は本当に子供向けなのか疑問に思えてしまうことだ。
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