二壜の調味料

二壜の調味料 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

  •  ロード ダンセイニ
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 2009-03-06

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「二壜の調味料」というよりも「二壜のソース」といったほうがしっくりくるんだけれども、まあそれはともかく、ロード・ダンセイニが作者だったことをすっかり忘れていたよ。
東京創元社が出す予定となっていたはずなのに「出す出すといってなかなか出さない東京創元社」だったせいかポケミスがちゃっかり出してしまったわけだけれども、「二壜の調味料」のような「奇妙な味」系列の作品集だと思ったらそうでもなく、わりと広範囲なミステリ系の作品集だった。
それにしても「二壜の調味料」がシリーズ物でしかもこの話における犯人が、いわばシャーロック・ホームズに対するモリアーティ教授みたいな存在で、その後の作品で何度も登場するとは思わなかったよなあ。
そういう点では、犯罪を犯しながらも犯人はのらりくらりと逃げ延びてしまったり、事件の真相は「陪審員が決める」などというある意味非常に現実的だけれども、物語としてはそれでいいのかと突っ込みたくなる結末だったりとなかなかユニーク。
しかし、一番面白かったのは「アテーナーの楯」で、事件の真相そのものは途中でわかってしまうし、しかもその真相というのがこれまた非常にバカバカしいというか非現実的な真相なんだけれども、犯人に追いかけられて逃げる場面がなんともいえない味があっていいのである。

コメント

  1. 『 二壜の調味料 』ロード ダンセイニ (著)

    調味料のセールスをしているスメザーズが、ふとしたことから同居することになった青年リンリーは、ずばぬけて明晰な頭脳の持ち主だった。彼は警察の依頼で難事件の調査をはじめ、スメザーズは助手役を務めることに。数々の怪事件の真相を、リンリーは優れた思考能力で解き明かしていくのだった—江戸川乱歩が「奇妙な味」の代表作として絶賛したきわめて異様な余韻を残す表題作など、探偵リンリーが活躍するシリーズ短篇9篇を含む全26篇を収録。アイルランドの巨匠によるブラックユーモアとツイストにあふれたミステリ短篇集、待望の邦訳。

  2. ロード・ダンセイニ『二壜の調味料』(早川書房)

    あらすじ
     ふとしたきっかけでリンリーと同居することになった調味料、ナムルモを販売しているスメザーズ。リンリーは明晰な頭脳で立ちどころに事件を解決していくのですが、後味 …

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