SFファン 48年

今月号のミステリマガジンはドナルド・ウェストレイクの追悼特集。
去年はSF関係の人が沢山亡くなったけれども、ミステリ方面でも亡くなっている人はいて、ウェストレイクは12月31日に亡くなった。
ユーモア物しか読まなかったのであまり良き読者ではなかったけれども、しかしクライムコメディの書き手が亡くなってしまったのは悲しい。
<ドートマンダー>シリーズも未訳は三編。今年、長編一冊と<ドートマンダー>物の短編集が一冊出るようなので、うれしいけれども、そんなに一気に翻訳されてしまう現実を考えるとやっぱり悲しいよなあ。
で、追悼特集といえば……
SFファン48年

  •  川瀬 広保
  • 販売元/出版社 近代文芸社
  • 発売日 2009-02

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一時期は毎号買っていたんだけれども、いつしか興味のある特集号しか買わなくなってしまったために、2009年5月が『トマス・M・ディッシュ&バリトン・J・ベイリー追悼特集』じゃなかったら買わなかったわけで、買わなかったとしたら『大森望のSF観光局』も読まなかったわけで、この中で言及されていた『SFファン 48年』という本が出版されていたことさえ気付かなかっただろう。
前作『SFエッセイ』は偶然にも書店に置いてあったために買って読んだのだけれども、そもそも『SFエッセイ』も『SFファン 48年』も出版したのが近代文藝社なので、よほどのことがなければ存在すら気付かずに終わってしまっていただろう。
で、『SFファン 48年』の方は半分近くがSFとは関係ないエッセィなのでそこのところが残念といえば残念なのだが、ファンダムとは無関係に過ごしてきた自分にとっては、興味深い話があったりして、そもそも作者と私は同じ市に住んでいて、しかもひょっとしたらニアミスしていたかも知れない可能性もあったわけである。実際には作者とは面識は全くないのだが、そんなことを考えると、この本は、有り得たかも知れないもう一つの自分のSFファンとしてのあり方というか、パラレルな世界をかいま見せてくれるのだった。

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