- 著 マイケル シェイボン
- 販売元/出版社 新潮社
- 発売日 2009-04-25

- 著 マイケル シェイボン
- 販売元/出版社 新潮社
- 発売日 2009-04-25
期待値が高すぎたのか、ユダヤ人問題にあまり興味がなかったせいか、エンターテインメントとして読もうとしてしまったせいか、『この世界の片隅に』を読んだ後で、この本に着手してしまったせいか、あまり面白くなかった。
そもそも、「世界の終わり」も「ワンダーランド」も無くって、まあ、設定上はある意味「世界の終わり」はちょっとだけあるけれども、タイムリミットサスペンスも絶望感も無い。あるのは「ハードボイルド」だけなんだけれども、主人公の別れた奥さんが登場した時点で最後に二人がどうなるかなんて予想がつくし、いやまあハッピーエンドは好きなんだけれども、そうなるのであればそうなるなりの物語の盛り上げ方ってのがあるだろうといいたいわけだが、何故か盛り上がらない。
読み終えて、あとがきを読んで、ああ、アイデンティティの話だったのだと思っても、やっぱりなあ、直前に読んだ『この世界の片隅に』の後では分が悪すぎる。
歴史改変物としては、うーんどうなんだろう。SFとしての面白さってのはそんなに期待していなかったので、これはこれで不満でもなんでもないけれども、プリーストが『双生児』で見せた、世界が歪んでいく瞬間や、スティーヴ・エリクソンが『黒い時計の旅』で見せた凄みみたいなものが無かったのが残念。
ジャック・ウォマックの『ヒーザーン』を思い出してしまったんだけれども、なんとなくあれと同じに匂いがしたけれども、ジャック・ウォマックの方が強烈だったなあ。
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