- 著 パーシヴァル ワイルド
- 販売元/出版社 東京創元社
- 発売日 2009-03-20
前作と同様、実に安心して読むことが出来る。
検死官リー・スローカムは相変わらずの調子なのだが、スローカムの天敵ともいえるイングリス氏の方はというと前作よりもパワーアップして登場。今回は陪審長になるし、審問記録には裁判にはなんの役にも立たない注釈を入れまくる。さらには自らもって現場捜査に乗り出す始末なのだが、まあそのあたりが事件解決には全く役に立たないけれども、審問記録が長くなればなるほど得をするスローカム氏一家の役には立ちまくり。
今回の事件は、屋敷の火事後から発見された屋敷の持ち主らしき死体の検死審問という、火災そのものが放火でなかったならば事故死の可能性が高い事件なせいか、前作よりも地味な部分が多く、それ故に審問記録も一見すると事件に無関係な話ばかりのようにも見える。しかし、そこが曲者であって、何気ない出来事やセリフの中にジョークとさりげなく伏線がはりめぐらされて、全てが明らかになったときに目から鱗が落ちる思いがするのだ。
作中でジプシー・ローズ・リーの名前が出てきたので、そんなに古い話だったのかと思ったら、やっぱりそれなりに古い話だったんだよねえこれ。
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