- 著 川口 士
- 販売元/出版社 一迅社
- 発売日 2009-04-20
SFは絵だねえというのは野田昌宏の言葉であり、そのとおりだと思っているのだが、ではファンタジーはというと……
ファンタジーってのは地図だねえ。
らしい。
もっとも、ひとくちにファンタジーといってもいろいろあるわけで、まあそれをいうならばSFだっていろいろなサブジャンルがあって、どう見ても「絵だねえ」とはいえないものだってある。
しかし、アーバン・ファンタジーはともかくハイ・ファンタジーともなると、確かに「地図だ」といいたくもなる。
本格ミステリに館の見取り図が、なんの役に立たなくっても、あるとワクワクするのと同じく、ファンタジーにその世界の地図があるとワクワクする。
というわけで、この本はこの世界の地図を作ることを目的としたファンタジーなのだ。
冒頭に白地図がある。お城とらしきものがそれぞれ一つずつ書かれただけで、後は何も描かれていない。
シリーズ化されるのかどうかはわからないのだが、シリーズ化されれば次の巻ではこの白地図に何かが追加されるのだろう。そう考えると、深沢美潮の<フォーチュン・クエスト>シリーズと同じなのだが、あちらはRPGを元とした冒険ファンタジーであるのに対して、こちらの目的はあくまで地図を作ることだ。
目的が地図作りなので地味といえば地味なのだけれども、なんだかいいんだよなあ。
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