- 著 ジェイムズ・ホワイト
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 1983-02
第二次世界大戦中、アメリカのタンカーが敵の攻撃を受けて沈没してしまう。大半の乗組員は沈没する前に脱出する事が出来たのだけれども、男性三人、女性二人だけが取り残されたままとなってしまった。
しかし、幸か不幸か、タンカーは完全には破壊されずそして沈没もせず、海中を漂う状態となり、五人の男女はとりあえず生き延びることができた。
船には当面は心配せずに済むほどの空気があり、食料も大量にある。船からの脱出は困難な状態だけれども、この船の中で生活をすることは可能だったのだ。
というのが物語の一つ。そしてもう一つの物語は、故郷の星が生存不可能な状態になってしまったために、冷凍睡眠を繰り返し、生存可能な惑星を求めて旅する異星人の物語だ。
タンカーの五人は電気を発電し、作物を育てながら船の中で生活をする。そして子供が産まれ、家族が増え、このタンカーの空間が一つの世界となっていく。
一方、異星人の方はというと、冷凍睡眠が知能に悪影響を及ぼすことが判明し、冷凍睡眠を捨て子孫を作り、自分たちの世代ではたどり着くことの出来ない新天地目指して世代宇宙船として旅することとなる。
どちらもサバイバルな状態で、どちらもじり貧となることが確定済みな話なので読んでいてなかなか辛い部分があるのだが、二つの物語が一つに重なったとき、それまでの辛さが消え去って、爽やかな幕切れとなるところがなんともいえない後味の良さを残すのである。
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