- 著 フリッツ・ライバー
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 1981-10
L.スプレイグ・ディ・キャンプの小説に『闇よ落ちるなかれ!』というのがある。考古学者が古代ローマ時代にタイムスリップしてしまうという話で、題名の通り、文明の闇が落ちないように孤軍奮闘する話なのだが、フリッツ・ライバーの場合はその逆だ。『闇よ、つどえ』である。
無論、内容はディ・キャンプとは全然異なるわけなんだけども、題名の違いだけでもまあ、今まで読まなかった理由もなんとなく判ってもらえるんじゃないかと思う。
とはいうものの、けっしてつまらないわけではなく、今読んでもそれなりに面白い。それなりというところがちょっと苦しいところなんだけれども、まあ、後回しにしてしまった自分が悪いのである。
戦争によって一度文明が崩壊してしまった後の時代。それなりに復興したのだけれども、政権を握っているグループが過去の科学技術を独占していて、巨神をあがめる宗教政治を行っている。科学技術は魔法と同様の扱いで、光線銃は「怒りの棒」などと呼び、不可侵フィールドは「後光」などと呼んでいる。
「使い魔」も登場し、これも科学的な説明と理屈が存在していたりする手の込みようなんだけれども、さらにこの聖職政権に敵対する魔人グループが存在するのだ。そして、表面上は神と悪魔との戦いが繰り広げられるのだけれども、実際のところは……というところが皮肉的というか、面白いのだ。
コメント
『闇よ落ちるなかれ!』は難しかったです。
『闇よ、つどえ』も時間モノでしょうか?
だったら読まないと。
『闇よ落ちるなかれ!』とは違って、時間物ではありませんので、読まなくってもいいですよ。ってなんだかちょっと変な言い方かもしれませんが。