- 著 ジム・トンプスン
- 販売元/出版社 扶桑社
- 発売日 2009-04-28
『ポップ1280』を読んだときに打ちのめされたわけなんだけれども、その後が続かなかった。
多分、基本的にノアールが苦手なのだ。
続けざまに読むよりもたまに読むのが自分にとってちょうどいいのだろう。
で、今回は短編集だったわけだけれども、全編ノアールかというとそうでもなく、こんな話も書いていたのかと思うバラエティ豊かな作品集だ。
冒頭の「油田の風景」はスケッチ的な話でありながら、アメリカン・ジョークすれすれのくだらなさのオチが面白い。
「酒びたりの自画像」は自伝小説で「システムの欠陥」はコンゲーム的な話でありながら、詐欺の根底の部分の概念というかそれが成り立つ理由の部分が斬新すぎてちょっと凄い。
「四Cの住人」「永遠にふたりで」はホラー小説で、「深夜の薄明」は未完なのが残念なところだが、これと「この世界、そして花火」がノアールで、まあ登場人物はいかれている。
欲望のままにというわけではなく、ただ淡々と暴力をふるい、殺人を犯す。目の前に邪魔なものがあるからどけるといった感覚だ。
苦手なんだけれども、たまに読みたくなるよなあ。こういう話は。
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