経過報告2

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昨日の夜はよかったが、今朝もやはり盗聴の話だ。
「だったら調べてやるよ」と切れそうになりながら話す自分に、
「調べなくってもいい」と返事する妻。
盗聴されていると信じているのに調べないというのは矛盾している。
「自分が間違っているのがはっきりしてしまうのが怖いのか」とこちらもぶち切れ状態だ。
どうしたらいいのだろう。
妻は決して元気な状態ではなく微熱が続いたままで、そちらも心配だ。
そうこうしているうちに、妻のパートの面接の時間が近づき、妻は面接へ。
私は本を読みつつ昼寝をする。
途中、携帯を持たないで出かけた妻が公衆電話から電話をかけてくるが、無視して寝る。今にして思えばなんとひどいやつだったのかと思うのだが、このときは仕方なかった。
再び電話が入ったので今度は仕方なく出た。
「○さん?ほんとに○さん?」
「黙って聞いて。思考盗聴されているの」
気がふれた。
これが妻の言葉を聴いて頭の中をよぎった言葉だった。
「ネットカフェでいろいろ調べたの。そしたら思考盗聴されている人が書いているページがあって、それが私とまったく同じなの」
しゃべりながらしだいに泣きじゃくる妻をなだめ、そのときになってようやく妻の話す言葉を無条件に肯定した。
いつもならば妻の言動を否定するはずなのだが、否定することなどできなかった。それしかできなかった。
ひたすら相槌をうち、なだめ、そして大丈夫だと話しかけ続けた。
心の思いを吐き出しつくしたのか、否定せず、素直に聞いてあげたことがよかったのか、落ち着きを取り戻した妻は、これから帰るといって電話を切った。
妻は落ち着いたが私はパニックに陥った。
妻の実家に電話をし、義母にこのことを話す。
今度は私が泣く番だった。
すみません、お義母さん。私の話を聞いた後で今度はお義母さんが苦しむことなど考えませんでした。しかしそこはやはり気丈なお義母さんでした。
帰ってきた妻に、思考盗聴などありえないと話、落ち着かせる。今から思えば、私の説明など何の効果もなく、むしろ電話で妻の話を否定せず聞いてあげたことが妻の安心につながったのではないかと思う。
気分転換に夕食を食べに行こうと外へ連れ出し、妻と食事。
盗聴器の調査を依頼してしまったという妻の言葉に、自分のほうでも信頼できそうなところを探すから今回は取り消してとなだめ、電話をかけ、調査をキャンセルさせる。
夕食後、なかなか帰りたがらない妻のことを気遣って少しドライブ。
アパートに近づくにつれて妻の様子がおかしくなる。
「だんだん声が聞こえてくる」
安心させるためにアパートへは帰らず、どこかホテルを探して止まろうかとも思ったのだが、翌日は月曜日で、私は仕事へ出かけなければいけないし、妻もアパートへ戻らなければいけない。
つらいかもしれないけれども、戻るのがいいのだろうと、アパートへ戻る。
「やっぱりあった、ほら」
深夜、突然、妻が叫ぶ。
妻が指差した先には台所用の電気の壁スイッチがあり、オレンジの小さな光が瞬くように点滅していた。
そして次に反対側のリビングの壁スイッチを指差す。そちらのスイッチの光は瞬いていなかった。
「絶対にここに何か仕掛けてある」
一瞬、妻の言葉を信じそうになる。
が、ライトの寿命という可能性もあるし漏電の可能性もある。
とりあえず寿命だよと妻を説得し、寝る。

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