経過報告34

10/8

夜間、風と雨が激しかったので不安だったが、朝になると風が強いだけで、晴れ間も見えたので安心する。
ゴミ出しをしながら妻の病院へと向かう。今日も穏やかだと良いな。
妻の病室へ行くと、隣のベットが空いていた。退院したのだろう。
妻はぼんやりとベットに腰掛けていた。今日はちょっと元気が無いみたいだった。
となりに腰掛け、持ってきた服や差し入れのパンやお茶を手渡す。
妻は変わりに交換日記を差し出してくれた。どんな事が書かれているのかドキドキする。
今日は妻の顔を見ながら話すようにする。
時折、手や足を見て、震えが無いか確認する。
私が気付く前に妻は、顔がむくんでいないかと聞いてきた。確かにちょっとむくんでいて瞼の上がはれぼったい。
薬の副作用かもしれないので後で調べておこうと心にメモする。もっとも、顔に症状が出ているので主治医の先生の方がもう気が付いているのかも知れない。
毎日診察があるのかと訪ねると、昨日は診てくれたと答える。
「先生は○さんにどんなことを話してくれているの」
この間の面談の時、何を話してくれたのだろうか思い出そうとするけれども、思い出せない。
「薬の話とか、だいたい同じような内容だったよ」
「でも、患者本人には話せなくって、家族にしか話せないこともあるでしょう」
どうなんだろう。確かにそれはあるけれども、先生は特に口止めのようなことは何も言っていなかった。だから多分それはないだろう。
妻の話では、隣の人は五日間の入院で退院していったらしい。
自分は一ヶ月だ。単純に比較すると妻の方が重傷となるのだが、「病気の種類が違うだろう?」と言うと、「そうね、うつ病だって言っていた」と妻は答える。
「せっかく話が出きる人ができたのに残念だね」
「私あまり人付き合いが苦手だから」
薬が一種類増えた事を心配しているようだが、どうやら増えた薬は下剤らしい。まあ、一応今度の面会の時に確認してみよう。
ご飯をあまり食べていないせいなのか、体に力が入らないと妻は言う。
差し入れのパンはその場でむしゃむしゃと食べるので食欲が無いわけではない。
妻はしきりに退院したがっている。それは無理もないだろう。
あまり病状に関しては聞き出せなかった。時間が少ないということもあるけれども、何処まで突っ込んで聞いてしまってもいいのかよくわからないからだ。しかし今度の土曜日は時間があるのでいろいろと聞いてみよう。
私への不信感はまだ残っている。それは仕方がないことだと思うようにしているけれども、ずばり言われると悲しくなる。しかし、これは妻が病気ではなくったって何処の夫婦間でもあることじゃないかと思うことにする。たぶん、そうじゃないか。
妻が病気になったから、全てが病気のせいで、病気が治ればよくなるだろうと言うのは間違いで、ようするに振り子の振れが大きくなりすぎたということに過ぎないのだと思う。振れが小さくなればいいだけで、そして小さくなったからといってマイナス面が全てなくなるというわけではない。振り子の振れはプラスとマイナスを行ったり来たりしているのだから。
さて、これから二日間、交換日記を書かなければならない。とりあえずは妻の疑問に答えることにするつもりだが、その後はどうしよう。

コメント

  1. ラバ より:

    振り子のゆれがマイナスプラスを行ったりきたりしてる・・・
    って妙に納得してしまいました。
    これからも頑張ってくださいね。

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