経過報告37

10/11

今日は少し早めにアパートを出て、午前中に妻の面会に行く。
薬の量が減ったせいなのか今日の妻は少し機嫌が悪い。
自分は病気だと思っていないのに私に入院させられたと文句を言う。頭痛がしているというせいもあるかもしれない。
幻聴が聞こえていたということに対してどう思っているのだろう。
おそらくよく分からないままなのではないかとも思う。
自分がそのようになったとき、正しく判断できるのだろうかといえば、考え込んでしまう。私も妻と同じように、誰かが電磁波のようなもので攻撃していると思ってしまうかもしれない。むろん、今の私はそんなことなどあり得ないと筋道を立てて考えることができるのだが、起きている間ずっと、自分のことを非難したり馬鹿にしたりする声が聞こえ続けていたら、おかしくもなるだろう。その時冷静に論理的に物事を考えることができるのだろうか。
一方で、そのように考えることができない人たちがこのような病気になるのだという風にも考えることが出来る。
考えれば考えるほどわからなくなる。素人なので当たり前と言えば当たり前なのだけど。
妻は薬に対する不信感はまだ持っている。
昼に飲む薬が減ったのであれば、良くなってきていると考えることも出来るのに、朝の薬が強い薬に変わったと考えてしまっているのだ。むろん確かに妻の言うとおりかもしれない。
病気というものはすぐに治るというわけではなく一進一退であることを実感する。
妻は他人との共同生活が苦手だ。
それでいて他人のことを心配したがる。むろんそれは裏返しの心理であって、そのあたりは痛いほどよくわかる。もう少し他人との接点の持ち方を変えれば生きやすくなるのにと思うのだが、妻にとっては難しい事なのだ。
妻は退院したら童話作家の通信教育をやりたいと言っている。おそらく妻には無理だろう。ひょっとしたら童話を書くのにマニュアル化された方法というものがあれば別なのだが、妻には難しいだろうと思う。
やってみるだけやってみるのは良い。だけれども、それで出来なくって挫折を味あわせてしまうのは心苦しい。
何か妻にとって自信に結びつくものがあればいいのにと思うのだ。

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