『ゼラニウム』堀江敏幸

『ゼラニウム』を読み終わる。
時折、いつまでも読んでいたいという文章に出合うことがある。そこに書かれている内容がどうのこうのというわけではなく、ただ、ひたすら、その文章に浸り続けていたいと思うのだ。
わたしにとって、堀江敏幸の文章はそういう文章のひとつだ。
が、しかし、今回は少し違った。
これはいったいなんなんだろうか。
たぶん、官能的な要素のせいかもしれない。
わたしが求める堀江敏幸の文章には官能的な要素はいらないのだ。
といっても作者は自分の書きたいものを書くのだから、一読者が文句を言っても仕方がない。
とりあえず、今回は、作者の意外な一面を見てしまったのでびっくりしただけ。ということにしておこう。
国書刊行会から出たバンドデシネ『アランの戦争――アラン・イングラム・コープの回想録』のオビを堀江敏幸が書いていたので思わず買ってしまいそうになったが、さすがに止めた。
しかし、漫棚通信さんのこのページを見て、著者のエマニュエル・ギベールのとんでもない描き方にびっくりした。須藤真澄が描く漫画の描線がツーテンツーテンと-・-・-こんな感じであることに気付いた時もびっくりしたが、今回はそれ以上の驚きだ。だからといって買ってしまうかどうかは微妙な問題なのだが、そこで躊躇してしまう自分は漫画読みとしてはまだまだなのだろうと思う。

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