白井弓子の『WOMBS』二巻を読み終える。
二巻に収録された分は月刊誌での連載だったが、これ以降は書き下ろしとなるそうだ。というわけで三巻が出るのは順調にいって今年の12月になる。
次巻で終わる予定はなさそうなので、どのくらい話が続くのか未定だが、二巻までの時点でかなりの量の問題提起が投入されているので、この作品に関していえば書き下ろしという形態のほうが向いていると思う。
第一移民と第二移民との戦争という中で、現地生物の体組織を子宮の中で育てることにより転送能力を得た「転送兵」という設定だけで十分に凄いのに、転送器官は女性の子宮内で成長させるしかコントロールできず、一方で人工子宮によって胎児を生み出すことができるという設定が当たり前のように描かれているのだ。
子供は機械によって生み出され、子供を生む女性は転送器官を育てるという構図は衝撃的だ。さらには転送器官を我が子のように思ってしまうというエピソードや、転送能力を持つ現地生物の縄張り争いのようなものまで投入される。そして第二移民側の視点というものは依然として欠如したままだ。その欠如が、相手側も同じ人間であるのに得体の知れない敵と戦っているという不気味な不安感を高めさせている。
はたしてこれだけの骨太な設定をまとめあげることが出来るのだろうかと不安にもなるのだが、期待して次巻を待ちたい。
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