『花はさくら木』辻原登

一昨年買いはしたものの、冒頭の数頁を読んで辻原登の小説でありながら今一つ話に乗ることができなかったので、そのまま積読状態になっていたものを、これではいけないと思い、ようやく読み始めた。
読み始めながらも、やはりしばらくの間は話に乗ることができず、今回ばかりは駄目なんじゃないか、小説がだめではなく自分の方がであるが、と思いつつも、読み進めていく内になんとなく最後まで読んでしまった。では面白くなかったのかといえば、たしかにそうで、というよりもむしろ、自分が期待するような面白さは無く、どちらかといえば優雅や風流という面白さの方だったというべきか。
しかし、期待する面白さはなかったものの、悪名高い汚職政治家というイメージの強かった田沼意次の意外な一面、というよりも国の将来を真摯に考える情熱的な政治家という姿に驚いた。この時代の知識に乏しかったのが悔やまれるのだが、こういう話を読むと、その時代に関してもう少し調べてみたくなってしまうのが、この本の罪深いところだろう。
そういう意味では、もう少しゆっくりと丹念に読めばよかったと少し後悔するのだが、致し方ない。

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