『食の軍師』泉昌之

泉昌之の『かっこいいスキヤキ』からもう30年も経つのか。
たしか、旧スターログの漫画レビューをみて面白そうだなと思い買って読んだのが『かっこいいスキヤキ』との出会いだったと思う。『かっこいいスキヤキ』に収録された、駅弁を食べるのにあれほどのこだわりを持って食べる漫画「夜行」を読んだ時の衝撃は今でも忘れられない。
で、「夜行」の主人公である本郷さんがまた主人公として登場する漫画『食の軍師』が単行本化した。相変わらずこだわりをもっていろいろな食べ物を食べるのだが、今回はライバルが登場する。もちろん本郷さんの一方的な思いこみによって勝手にライバル視しているだけで、ライバルに一方的に勝負を挑んで、そしていつもどおり自滅して負けるのだ。
食を通した勝負漫画であるが、主人公が必ず負けるというのもかなり珍しい部類ではないかと思う。しかし、本郷さんはただ単に如何に美味しく如何にかっこよく食べるかということを追求しているだけなのだ。で、その結果負けてしまう。
巻末に泉昌之の単行本リストが載っているのだが、『かっこいいスキヤキ』は初版と改訂版で収録作品が異なっているのを知って驚いた。どうやらウルトラマンシリーズが問題となってしまったようだ。まあ、あのウルトラマンの描き方では円谷プロの許可が下りないのも無理はないのだが、あのシリーズも描かれる可能性も無くなってしまったことは少し残念だ。

コメント

  1. 食の軍師

    原作 久住昌之  画 和泉晴紀         日本文芸社
     小生はアホでせっかちな人間ゆえ、食べ物屋に入って、あまり悩まない。たいていパッと注文する。ところがあれこれ悩むムキもいるようだ。昼食で定食屋のテーブルの前で、とんかつ定食にしようか、焼き魚…

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