古参のミステリ好きならば読んでいて当たり前だろうけれども、わたしは今まで未読だった。
まあミステリといえば密室殺人が一番の花だと思っていた人間なので、密室殺人でもなく、アッと驚くようなトリックがあるわけでもなく、名探偵が活躍するわけでもなく、ただ単にいろいろな事件が同時多発的に起こるだけというミステリに興味が無かったのは仕方がない。
しかし、歳をとって、ミステリというものは名探偵が活躍したり、アッと驚くトリックが仕掛けられたりするものだけが全てではなく、それ以外の部分での面白さというものもあるものだという事がいろいろとわかりはじめてみると、今まで敬遠してきたミステリを面白く読むことが出来るようになってきた。歳をとることは必ずしも悪いことばかりではないということだ。
とはいうものの、様々な事件が同時多発的に起こり、その事件解決に乗り出すギデオン警視の一日を描いただけといってしまえばそれだけで、モジュラー型ミステリの先駆けという歴史的な価値はあるものの、今さら読んでみて面白いかどうかといえば、それほど面白いわけでもない。
どうせ読むのならウィングフィールドの『クリスマスのフロスト』を読んだ方がいいかも知れないが、一緒に買った『ギデオンと放火魔』は長期積読にならないうちに読むようにしておこう。
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