『舞面真面とお面の女』野﨑まど

『小説家の作り方』の感想に書いたとおり、野﨑まどの二作目である『舞面真面とお面の女』をさっそく読んでみた。
うーん、確かにこれは『[映] アムリタ』の後で期待して読んだとしたらがっかりしてしまったかもしれない。
魅力的なというかライトノベル小説における典型的なキャラクターを登場させ、人を食ったような話を繰り出すのだが、紙面の分量的に少ないせいか、せっかくの面白い脇役キャラクターが魅力を発揮しきらないうちに物語が終わってしまう。
しかし、三作目、四作目を読んだ後で読んでみると、これはこれで悪くはない。というか、二作目は次の作品への通過点でもあったのだなということがわかる。
今回は驚きというものは少なく、うまく構成された仕組みを面白く読まされたといった感じだが、遺産にまつわる祖先が残した暗号の謎はシンプルだけどよくできていると思う。そしてその謎解きを含めた終盤における主人公が仕掛けた罠も面白い。
それにしても野﨑まどという人は、人の限界を超えた存在というものを描こうとしているのだろうか。