『泣き虫弱虫諸葛孔明〈第2部〉』酒見賢一

酒見賢一が原作を担当し近藤勝也が絵を描いた『D’arc ジャンヌ・ダルク伝』は二巻まで出たところで中断している。今でもひそかに続きが出ることを待ち続けているのだが、多分続きが出ることは無いのだろう。
『陋巷に在り』は完結したのだが、完結してから読もうと思ったまま未だに思ったままなのでまだ読んでいない。そうこうするうちに『陋巷に在り』は文庫化されそして絶版になってしまった。
そんな失敗があるので『泣き虫弱虫諸葛孔明』は出たら読もうと思いつつも、なにやらべらぼうに面白いらしいので躊躇してしまっていた。孔明が主人公ということは三国志の物語としては物語半ばから始まるとして、孔明が死ぬところまで描いたとしても道のりは長い。そんな面白い小説をうっかり読んで、そして中断されてしまったら困ったことになってしまう。
とはいうものの、文庫化されると今度は後が無い。この機会を逃して文庫が絶版になってしまうと『陋巷に在り』の時のように後悔するはめになってしまう。
とそんなことを考えながら、第一部を読んだのだが噂に違わず面白かった。で、今度は第二部が文庫化されたので早速読んだ。
「エヴァンゲリオン」の「残酷な天使のテーゼ」の歌詞そのものを孔明にセリフで言わせて、それが何の違和感も無く三国志の物語の一部として成立させることができるのは酒見賢一ぐらいだろう。
まあそれだけむちゃくちゃなことをやっているということでもあるし、三国志を物語っているのではなく酒見賢一が三国志を自分なりに解釈しているだけでもあるのだが、この話芸がべらぼうにおもしろいのだ。
第三部が待ち遠しい。

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