僕が一番読むのは日本人が書いた本で、その次にアメリカ人の書いた本、その次はイギリス人の書いた本という順番になる。言語として見た場合はというと外国語で読むことが出来るほど語学力はないので、外国人の書いた本は全て日本語に翻訳された本になってしまうけれども、原著がどの言語で書かれたものかという点で考えると先の比率からいえば外国人作家のうち、90%近くは英語によって書かれた本になる。
つまり、英語圏外の本は僕の読書の中で10%程度でしかないという計算だ。
カリン・フォッスムはノルウェーの作家で、『湖のほとりで』は彼女によって書かれたミステリである。2008年に映画化されたおかげでこうして日本語で読むことができるようになったのはありがたいことだ。
さて、ノルウェーというと福祉国家というイメージがある。物価は高いけれども、福祉が充実しているので国民の満足度は高い。そんな国であってもミステリは存在する。
国家が与えてくれる幸せと個人の求める幸せは微妙に食い違うし、国家は家庭における様々な問題までは解決してくれない。派手な事件ではないし驚愕のトリックがあるわけでもない。ここで起こった事件はそっくりそのまま日本に移し替えても起こりうる事件だ。
ミステリなので謎は最後に解き明かされ犯人は捕まるのだが、最後まで読み終えると、果たしてそれで良かったのだろうかと二重の意味で思わざるを得ないのだ。遠い国なのに近くに感じる。
コメント
ノルウェーって福祉大国で国民が幸せな理想郷みたいなイメージがありますが、現実は結構厳しいらしいですね。
しかし、翻訳したものが日本でも売られるとはかなり人気のある作家なのでしょうか。
日本で翻訳されたのはこれが初めてですので、人気が出るかはわかりませんね。
この作品に限っていえば地味ですし……