『地球移動作戦』山本弘

50年代もしくは60年代SFを現代でも通用するレベルで語りなおしたという点では力作なんだけど、ちょっと期待していたのとは違った。
じゃあ、どんなものを期待していたのかといえば明確なものがあったわけではないのだけれども、いかにして地球を移動させるかという部分に焦点がおかれているせいか、物語を読むというよりも論理的な思考の手順を読んでいるような感覚だった。
無論それはそれでかまわないのだけれども、せっかくあらゆる手段を駆使して地球を移動させるのだから手に汗握る熱さをもう少し持続させてほしかったと思うのだ。
というのも要所要所で作者の主張が顔を出していて、それがこの作者の個性であるのはわかっているのだが、興醒めしてしまうのが残念。
未来の話ではあるけれども、その未来がどうにもオタクっぽい。100歳近い老人がギャルゲーと言っていたり、主人公が「死亡フラグ」が立ったとか言っているとげんなりしてしまうのだ。2083年と今から72年未来なのだ。「死亡フラグ」という概念が70年先まで生き残るのだろうか。
というわけで、次回はそういった作者の主張というか好みがあまり入っていない話を読みたいと思う次第なんだよね。

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