楳図かずおが『ウルトラマン』を描いていたことは知らなかった。
恐怖マンガ家として有名な楳図かずおがヒーロー物を描くという組み合わせがずいぶんと意外な組み合わせのような気がしたのだが、実際に読んでみると意外ではないことに気がついて驚いた。
そもそも、『ウルトラマン』は『ウルトラQ』の後継番組で、『ウルトラQ』は怪奇路線の内容だった。『ウルトラマン』もどちらかといえば怪奇という部分が残っていて、その部分に焦点を当てるのであれば楳図かずおが描いてもおかしくはないし、ずいぶんと面白いものができそうな気がする。
で、実際に読んでみると、バルタン星人の話などは素晴らしい。楳図かずおの手がかかったバルタン星人はテレビ版のバルタン星人と姿形は同じではあるが物語の展開は全く異なり不気味でとても恐ろしいのだ。もっともこれは漫画化するにあたって設定資料がほとんど貰えない状態で描かざるをえなかった事情がある。十分な資料が与えられていたとしたらテレビ版に忠実な話になっただろうけれど、そうしたら今ほど魅力のある『ウルトラマン』にはなっていなかっただろう。何が幸いするかはわからないものだ。
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