前作では事件の真相はわかったものの、犯人がどのようになったのかまでは描かれなかった。
今回はそれから数年後。主人公を含め、事件の関係者達のその後が描かれるのだが、総じて全員が不幸になっている。
シリーズキャラクターが次々と不幸な目に遭うというと、ジョー・R・ランズデールの<ハップとレナード>シリーズやマイケル・スレイドの<スペシャルX>シリーズを思い出すけれども、本国では四作目まで出版されているというから、次作でのシリーズキャラクター達の扱われ方が気になる。
前作ではそれほどノワールという感じはしなかったけれども、今回の作品を読むと、主人公は探偵役とはいえど、それほど活躍はしないうえに、事件をうやむやして欲しいと警部に頼んだり、真犯人を見抜けなかったりと、探偵役というよりも単なる物語推進役といった感じに近く、ノワールっぽさはかなり出ている。
いちおうそれなりの意外な犯人も用意されているが、どちらかというと事件そのものよりも主人公一族が不幸になっていく様子の方が作者にとっては重要な感じでもあり、主人公達が不幸になるために作者の手によって事件が起こされているんじゃないかと邪推したくなる。
特にエピローグの数頁は強烈で、事件は解決してスッキリしたはずなのに、思いっきり暗雲立ちこめる主人公のモノローグは、早いところ三作目を翻訳してくれといいたくなる終わり方だ。
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