こうして短編SFの発表の場があるというのはありがたい。まだまだSFの夏は続いているようだ。
今回はシリーズ連載の「火星のプリンセス 続」を除けばどれも粒ぞろい。「火星のプリンセス 続」は完結してどうなるかってところ。
伊坂幸太郎の小説を読まなくなって久しいけれども、久々に読んだ伊坂幸太郎の「密使」は、読み終えてやっぱり伊坂幸太郎だなあと思わせる話だった。時間物なんだけれども、伊坂幸太郎のテイストが加わるとこういう感じになるのかと思った。
超常現象を扱いながらあくまでそれが存在するという前提で論理的に推理を重ねる石持浅海の話も面白かったが、上田早夕里、図子慧、須賀しのぶの女性作家の作品がなかなかよい。図子慧の「愛は、こぼれるqの音色」がこれまた短編として終わってしまうのがちょっともったいないなあと思うくらい気に入った。
友成純一の小説を読むのはこれが初めてだけれども、「アサムラール バリに死す」はクリストファー・プリーストの「火葬」を思わず思い出した。
一番楽しめたのは宮内悠介の「スペース金融道」で、主人公コンビの掛け合いが面白いのだが、主人公の相方の設定が特にいい。このコンビでシリーズ化してもらいたいけれども、どうだろうなあ。
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