巻末の予告を見る限りでは五巻までは出そうだ。
主となる物語が存在しないので、この話が何処まで続くのかわからない。『BANANA FISH』のような長編作品ではなく、緩やかに繋がる連作短編なので描こうとすればいくらでも描けるだろうから、長く続いて欲しいという気持ちもあるけれども、長く続けばだれてしまう。適度なところでまとまって終わって欲しいという気持ちの方が少しだけ強い。
少しずつ登場人物達が繋がり始め、なにやら癖のありそうな新しい人物も登場した。吉田秋生の描く世界が四姉妹を中心に少しずつ細部がくっきりとし始めて、緩やかで、読んでいてとても心地いい。ずっとずっと、いつまでも読んでいたくなるのだ。
最初に『海街diary』が出た時、吉田秋生がようやくこの世界に戻ってきてくれたと書いた。しかし、それはちょっと違ったんじゃないかと思い始めている。
『カリフォルニア物語』の主人公ヒースは確か17歳くらいの年齢だった。『吉祥天女』も高校生だったし、『河よりも長くゆるやかに』も高校生だ。吉田秋生の描く主人公達は、大半が高校生くらいの年代だった。しかし、ここにきて吉田秋生は主人公の年齢をさらに下げた。
表面的に見れば、昔、描いていた世界に戻ったという面もあるだろうけれども、それは僕の思い違いで、吉田秋生は今も新しい境地を目指しているのかもしれない。作者がすずを描く視点がどことなく子供を見守る視点のように思える。
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