『大東京トイボックス(7)』うめ

昔から物を作るということが好きだった。
だから結局今でも物を作るという事を生業として生きている。しかし仕事をするのは生活の為なので、仕事の上で作る物は誰かの為に作る物だ。
誰かの為になるものを作ることであっても作ることに変わりはないので嫌いではないのだが、時として自分自身の為に作りたくなることがある。
いや自分自身の為というのは少し違う。
自分の中で何かを作りたいという衝動が生まれてくるから作るのだ。
もちろん単に作りたいという意識だけが生まれるわけではない。その時点で作りたい物はある程度明確になっている。明確になっているからこそ、その何かは、形にして外に出せと僕に語りかけるのだ。
そしてそういう物を作っている時は楽しい。思う存分時間をかけ、納得するまで費やすことができるからだ。でも十分に納得できることなど有りはしない。一つ満足すれば、一つ不満が出てくる。一つ上の高みに登れば、またその上があることを知る。そしてその高みは延々と続き、上を目指せばどこまでいってもきりがない。目指し続けていくとそのうち自分の技量も追いつかなくなって苦しくなる。そうなると、どこまで我慢できるかという根比べになる。
それは、技量とか技術とかといった部分では補うことのできない部分で、魂は合ってるかどうか、どこまで踏みとどまって高みへと登ることができたかで形作られる物は大きく異なってしまう。
この漫画を読むたびに僕の中で何かが形作られていく。そしてそれは形にして外に出せと言ってくる。

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