『東雲侑子は短編小説をあいしている』森橋ビンゴ

森橋ビンゴという作家は僕にとって気になる作家の一人だ。
『三月、七日。』で森橋ビンゴという作家を知って以来、一部の作品を除いてほとんど読んでいる。
なんだか後ろ向きで自信なさげで、この人ほんとうに大丈夫なのかと心配したくなるようなあとがきをあいかわらず書いているけれども、そういうあとがきを含めて、上から目線になってしまうが、読んでやらなければいけないという気分にさせられてしまう。
もっとも、上から目線でお情けで読んでやろうなどと思ったとしてもつまらなければ読むのを止めてしまうし、つまらなくても読み続けるほどの親切心など無い。
どの作品も読みおえて何かしら心に引っかかる物があるから読み続けている。
他の作家と比較するのはあまりよくないのだが、僕にとっての森橋ビンゴが描く領域というのは、桜庭一樹が描いている領域から少し外れた場所を描いているという感覚だ。
桜庭一樹が描かないもしくは描けない領域を森橋ビンゴは少し自信なさげに描いている。
だから桜庭一樹があれだけ人気があるのに対して、どうして森橋ビンゴは人気が出ないのだろうと歯がゆい気持ちでいる反面、自信なさげに描いている森橋ビンゴの世界はずっとこのままでいて欲しいと思う気持ちがある。
今回も、相変わらず自信なさげだけれども、読み終えてもう少しこの人の描く世界を味わってみたいと思う素敵な話だった。

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