『遠い町から来た話』ショーン・タン

ショーン・タンの作品を読むのはこれが初めてだけれども、うーん、これはクラフト・エヴィング商會だなあ。
クラフト・エヴィング商會の視点は大人の視点だけれども、ショーン・タンの方の視点は子供の視点が多い。なので想像の飛躍という点ではショーン・タンの方に軍配が上がるし、絵のタッチも優しいタッチなので、ショーン・タンの方が広く受け入れられるんじゃないかと思う。クラフト・エヴィング商會のユーモアも好きなんだけどね。
手書きの文字も多数の人間の協力があったようでいかにも沢山の人が書いていますといった感じだし、透けてはいないのに裏の絵が透けている感じや、最後のページの図書カードを模したページなどは細かな点まで心配りが行き届いていて、見ていて飽きない。
ただ、ここまで凝ってくると、もう少し凝って欲しいという欲望も出てくる。昔、『マイアミ沖殺人事件』とか『マリンゼー島連続殺人事件』といった「捜査ファイル・ミステリー」シリーズというものがあって、写真や手紙、マッチの燃えかすといった証拠物件が実際に収録されているひじょうに凝ったシリーズだったけれども、そこまでやって欲しかったという気持ちもないでもない。
特に、最後のページの図書カードの部分なんか、実物の図書カードが差し込まれていたりしたらさぞかし楽しかっただろうなあ。

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