『とある飛空士への追憶』から派生したスピンオフと思ったら上下巻のボリュームで、対になる作品的な要素と続編的な要素とが混在した、作者がやりたい放題やった的な話になった。
物語としてはほとんど何もひねりもなく、陳腐なほどオーソドックスな展開をする。
もともと太平洋戦争における日本とアメリカをSFファンタジーの世界に置き換えた要素はあったものの、その要素が今回はもうあからさまなほどで、技術力の差、物量の差、精神論的な展開、さらには太平洋戦争において敗北した大砲巨艦主義でもって戦局をひっくり返すあたりになってくるとちょっと作者の進め方に付いていけなくなる部分もある。
もっとも、絶望的な情況に追い込んで、それをひっくり返そうとする手際は、熱く、燃える。
ちょっと都合がよすぎるんじゃないかとか、最後の必殺技に関しても、回数を増やせばいいものじゃないだろうとか、冷静になれば突っ込み所は満載なのだが、読んでいる最中はほとんど気にならないし、気にさせないだけの迫力はある。
ああ、やっぱりドッグファイトはいいなあ。
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