何ともいえない不思議な語り口だ。『空の都の神々は』という邦題の付け方も素晴らしい。
最初は、ハヤカワ文庫FTというファンタジーのレーベル出たけれども、ローカス賞を受賞して、ヒューゴー賞、ネビュラ賞候補になったのだから実はSFなんじゃないかと思っていたし、読みながら、どこでSF的な設定が登場するのだろうかと思っていた。
しかし最後まで読み進めてみて、やはり出るとすればハヤカワ文庫FTだよなあと思える話だった。
より正確に言えばファンタジーというよりも神話といったほうがぴったりする。
一般的なファンタジーならば描きそうな部分が描かれていないし、それどころか物語そのものでさえも、作者は無理に描こうとしていない。
その場その場の風景のような感じで人々を描き、そんな描き方を積み重ねて物語が進んでいく。
だからなんだかファンタジーではなく、物語でもなく、神話を読んでいるような感覚になるのだろう。
しかし、神々が兵器として使われているという設定の割には、物語そのものは権謀術数的な話に終始し、登場する神々もギリシャ神話並みに人間くさいので、雰囲気は悪くはないんだけれども、好きか嫌いかといえばあまり好きではない話だった。
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